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1984年のUWF

久々に柔らかいネタ。

現在のプロレスや格闘技にまで多大な影響を及ぼしているUWF。新日本プロレスのクーデターをきっかけに、復讐に燃えたアントニオ猪木のマネージャー新間寿が1984年に立ち上げた団体だ。アントニオ猪木、タイガー・マスクこと佐山聡–、新間にとって遺恨はあるが新団体UWFにはふたりの役者がどうしても必要だった。UWF旗揚げに関わる男達の生き様を追うノンフィクション。佐山聡、藤原喜明、前田日明、髙田延彦……、彼らは何を夢見て、何を目指したのか。果たしてUWFとは何だったのか。この作品にタブーはない。筆者の「覚悟」がこの作品を間違いなく骨太なものにしている。

Numberの連載は適宜読んでいて面白かったので、購入。

UWFはリアルタイムでは見ておらず、Uインターの新日との交流戦を見たレベル。ただ、当時はゴング・週プロは毎週読んでいたので、パンクラス・藤原組・リングスが活動していたのも知ってはいた。また、高田延彦の

も読んでいたが、高田延彦✕金子達仁なので、情報は偏り気味。

本書がすごいのは、プロレス書籍にありがちな、当事者へのインタビューを中心とした叙情的な情緒的な偏った記述ではなく、周囲の人間へのインタビューや事実を中心として客観的にUWFを取り上げているところ。また、UWF立ち上げ時の経緯は、「泣き虫」とくらべて明るい。

格闘技かプロレスかの議論はYouTubeでUWFの試合を見れば、佐山聡と高田延彦の蹴りあいを見るだけでも、一目でプロレスとわかるが、それはK-1やPrideなどのリアルファイト(疑惑の試合もそれなりにあるが)があったから。

時代背景を見つつ、当時のビデオを見るのが必要だろう。当時としては夢の大きい団体だったことは間違いない。