月別アーカイブ: 2011年1月

国家の命運

国家の命運 (新潮新書)。アジア大洋州局長として北朝鮮との交渉にあたったり、外務事務次官を務めた藪中 三十二氏の書籍。

「国家の命運」というタイトルは中身からするといささか誇張しすぎな勘も否めないが、タイトル勝負でもある新書だし、そこはしょうが無いだろう。

中身は外務省で各国との交渉での経験を、交渉術という切り口でまとめられたもの。私自身は外務省に対する印象はマスコミの報道もありあまり好感を持っていなかった。

以前から官公庁は優秀な人間が集まっているのになぜ、あーなるのだろうと漠然と思っていたが、政治とマスメディアがいかに日本のコントロールを行っているのか、という点を感じさせてくれる本。特にメディアの報道一つ、族議員の力次第で日本であれアメリカであれ、交渉が左右されるエピソードは、なるほどなと思わされた。

また、どこかの本でも読んだ気がするが、交渉事は51VS49でまとめるべきという点、相手のペースに飲まれないためにもオフェンスが重要という点は、特に勉強になる。

政治・報道の見方も変わるであろう一冊。

信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題

信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題 (角川oneテーマ21)

レビューはまだ書けていませんが、中澤佑二 不屈で振り返られているワールドカップとあまりに異なる印象を受けます。

  • 最後までチームの主力として信頼を受けた選手と、キャプテンを後退させられた選手
  • ポジションも性格も全く異なる二人

というとことからも違いがあるのかもしれませんが、2010南アフリカワールドカップを振り返り、検証したい人は両方読むべきでしょう。

中澤本では監督に対する不満が赤裸々に語られている一方で、遠藤本では大きな信頼が書かれている。

ザースフェーでのミーティングも、中澤本では議論がモメるもトゥーリオの一言でまとまったとなっている一方、遠藤本では攻撃陣と守備陣で意見の対立があって議論がまとまらなかったなど。

まとまっていたのは間違いないチームでも、印象が全く異なるように書かれている点はやはり、両方読んで初めて分かること。

またオシムが評価する遠藤評と、本人がオシムからうけた影響、この双方を比べてみると、語っているポイントはいずれもいかに危険な箇所に入り込んでいくか、ゴールを奪うか、という点を共に挙げている一方で、方やオシムは不足を感じ、方や遠藤は成長を感じで、まだまだ遠藤自身の目線が低いように感じさせる点も面白いです。

日頃、Numberなどでもあまり詳細を語らない遠藤だけに、一冊で読み終えてしまうには、あまりにも勿体無い、新たな事実が読み取れる本です。

Servlet#init とContext#initializer

J2EEアプリケーションの初期化処理を実装するにあたり、Servlet#init とContext#initializerのどっちが先か気になったので、WebLogic Server 9.2で試してみた。

結果はContext#initializerが先。

WebLogic独自仕様じゃないよね~と気になってググっていたら良いドキュメントを発見。

Servlet 3.0 仕様書邦訳版

http://www.cresc.co.jp/tech_info.html

以下、2.3 サーブレットのライフ・サイクル(Servlet Life Cycle)の2.3.2 初期化(Initialization)からの抜粋

この設定オブジェクトにより、そのサーブレットはウェブ・アプリケーションの設定情報からの名前-値の初期化パラメタにアクセスできる。この設定オブジェクトによりサーブレットはそのサーブレットの実行時環境を記述したオブジェクト(ServletContext インターフェイスを実装した)にアクセスできるようになる。ServletContextインターフェイスに関する更なる情報は第4章の「サーブレット・コンテキスト」を見られたい。

「オブジェクト(ServletContext インターフェイスを実装した)にアクセスできるようになる」とあるので、Servletの仕様としても間違い無いんだね。

マネジメント 基本と原則「エッセンシャル版」

マネジメント – 基本と原則 [エッセンシャル版]

以前レビューしたもしドラから自然な流れで購入。読んでいく都度、気になったフレーズは多数出てくるんだが、消化が全く追い付かない。もしドラで多少なりとも予習にはなっているんだろうけれども、また表面的な言葉には凄い惹かれるものの、それを自分の言葉で理解をして、身の回りに置き換えてとなると、1回読んだだけでは全くの消化不良。

ただ、特筆すべきは洗練された日本語訳。洋書はこの本を初めて数々読んできたが、非常に分かりやすく、かといって語彙に飛んでおり、今まで読んだ洋書の中では訳の完成度はダントツナンバー1。原書はもちろん読んでいないので、その訳が適当か否かは全く分かりませんが。

以下、気に入ったフレーズの抜粋。

・マネージャーに共通の仕事は5つある。

①目標を設定する

②組織する

③動機付けとコミュニケーションを図る

④評価測定する

⑤人材を開発する

・ミドル・ブームとそれに伴う過剰人員は、特に大組織の四季と動機付けに悪影響を与えた。かつて企業、政府機関、学校、病院に大挙して就職していった人たちの不満や挫折感も、主たる原因は人員の過剰にあった。( 中略)何よりうもまず、ミドルマネジメントから脂肪分を除去しなければならない。(中略)今後も彼らは増加していく。その増加を方向付け、管理し、マネジメントする必要がある。

全般的に、PART2「マネジメントの方法」という章が印象に残った。

PART3「マネジメントの戦略」 は組織論に通ずるところもあるんだろうけど、消化不良だし、今の環境とはオーバーラップさせられない。組織論は一度読んでみたいなぁ。

孫正義「規格外」の仕事術

孫正義「規格外」の仕事術―なぜソフトバンクは逆境でこそ強いのか (PHPビジネス新書 157)

「光の道」構想ワールドビジネスサテライトに出演しているのを見てちょっと気になっていた孫さん本。

たしなむには良いでしょう(w。

孫さん自体を、ニュースで観ている程度の、全く知らない私にとっては、ひとつひとつのエピソードが細かくかかれている前半は、かなり楽しめた。後半は筆者が孫正義と離れているという事を匂わすように、ひとつひとつの描写からリアルさが消えてしまい、残念だったが、ハードカバーでなく新書であることを踏まえると許すことができる。

何より正しいと思ったことは主張する強さ、そして相手を説得させる交渉術、そして結果、全て見習いたいものです。

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

年末年始なので、一挙2冊分をまとめて記載。

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

辻野さんは全く知らないんだけれどもタイトルに釣られ、そして最近は、会社に対する不満が耐えないだけにいろんな会社の事を知りたくて購入。

良く、大企業で偉くなるには、出世競争を勝ち抜くなり、泥も啜れないとダメ、というけれども、それも暴露してくれているあたり、仕事について、会社について考えたくなった人には、ひとつ良い材料となるでしょう。

ソニーの勃興が良くまとまっています。一方でグーグルに居た期間が短い事もあり、果たしてグーグルで必要な事がなんだったのか、そして、なんでグーグルを離れるに至ったかは、ソニーと違って詳しくは書かれておらず、今ひとつ物足りない。

だた、主義・主張は、孫正義さんや、中島聡さんとは近い事もあり、そこからビンビンに影響を受けたおいらとしても馴染みやすい。

ただ、共感したいのはやまやまだが、出してきた実績がおいらとはケタ違いな事は、頭の中に叩き込んでおいておかないといけない(苦笑