名もなき挑戦 -世界最高峰にたどり着けた理由-

名もなき挑戦 -世界最高峰にたどり着けた理由- パク・チソン自伝 (ShoPro Books)。以前、サッカー番組のプレゼントか何かで、知ったのだが、全く本屋に並んだいなくて、やはり韓国人には冷たいんだな、などと食傷気味だったけれども初版から1年以上過ぎて、街中で販売されいるのを発見。数ページ立ち読みして購入。

京都にいるころから見ていた選手だけに、マンUであれだけ活躍できるとは想定外だったし、レギュラーでは無いけれども生き残っているところも不思議だった。マンUに関する情報はNumberくらいしかインプットが無かったので、マンUを知るという意味でも、非常にオススメできる一冊。サッカー書籍としては、パク・チソンというつかみ所の無い、汗かきプレーヤーの本質に迫れるし、それを「献身」という一言で表現しきっていることに感服する。ホント、献身って言葉がピタっとハマる。

特に気になったのは以下フレーズ。

ひとつのゴールが転機となり、その後、ゴールの量産に至った数試合を振り返ってのひとこと。

2010年2月1日のアーセナル戦。ここで転機が訪れた。(中略)試合中、突如として40メートルのドリブル突破に成功し、右足でゴールを決めてしまった。胸に使えたものが、すっきりと取り払われる気分だった。自分の前に立ちふさがっていた壁が、一気に崩れ去った感覚、とでも言おうか。(中略)ゴールが重要だ、という話では無い。こういった変化は、必ずしも大きな契機が必要というわけではないという話がしたいのだ。日常のなかのほんの小さなことでも、見えないほどの些細なことでも、自分の人生を変える大きな力を持ちうるのだ。そういった、感覚を味わうためには、まず自分の取り組んでいることに夢中になることだ。没頭すること、。そして楽しむこと。

心の休息に関してもあった。これは、年末年始の休みの前には染みる言葉。

走り続けるだけでは、目標にたどり着く速度が上がるわけではない。ときには人生のギアを一つ下げて、自身を振り返ることが必要だ。自分を休める時には、それを徹底しなければならない。深呼吸したときに感じる爽快感は、休息を楽しめるもののみに与えられた特権だと思う。

組織とは、を考えされられる一言も。

マンUというチームは、華麗だ。とはいえ、実のところチェルシーリバプールアーセナルマンチェスター・。シティなどのチームほどの派手さは無い。しかし薄氷を踏む様な戦いの末、勝つのはマンUだ。その理由は何か。水を運ぶ人の献身があるからだと思う。(中略)。自身の役割を忘れてしまい、全員がボスになりたがるような組織は、しっかりそした成果を得られるだろうか。どんな組織でも競争が必要だとは思うが、勝利という目的を忘れてしまうほど競争に没頭すれば、自滅が待っているだろう。

twitterでもつぶやいた気がするが、長谷部誠の「心を整える」と違って、長谷部と違いパク・チソンの事をよく知らないから楽しめたし、サッカーと言わず自己啓発書としても本質をついているように感じる、良い1冊。

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