3-4-3 究極の攻撃サッカーを目指して(杉山茂樹)

気がつけば4ヶ月近く更新してませんでした。本を読んでいないわけではなく、ネタはあったんだが、どうにも筆が進まなかった。ということで、また気の向くままに更新します。というわけで久々の更新は軽いこいつから。

3-4-3 ~究極の攻撃サッカーを目指して~

サッカーの評論との出会いは1996年の杉山茂樹のナンバーの記事が最初。たしか、当時はファルカンから加茂監督でしばらくした後で、名波が代表に定着し始めて、緩やかにドーハ組からの世代交代が行われていたころ。当時は、ゾーンプレスと呼ばれ一斉を風靡していた?4-2-2-2をバッサリ切り捨ていたのが、杉山茂樹の記事だった。

記事の内容も的を得たように感じ、4-2-2-2でプレスを掛けようとすると、中盤の人数が少ないこと、ベンゲルの4-4-2や、フリューゲルスだったか4-5-1に近いフォーメーションと比較しての構造的な考察を、選手のインタビュー-特に4の前の2の負担が大きいことや、サイドバックが参加しないと攻撃とならない-を元に上手くまとまっていて、目からウロコだった。

当時は監督批判すら珍しく、新しい視点に感動を覚え、以来戦術、サッカーの仕組みに取りつかれていくことになる。

という過去の経緯もあり、また、前著4-2-3-1もそれないに楽しめたので期待して買ったのだが、正直がっかり。

そもそもフォーメーションを語る本なのに、ところどころに出てくるフォーメーションの図が文章と上手くつながっていない。編集者がサッカーを知らないのだろう。微妙なギャップを描くこともなく、ピッチの絵の上にマスゲームの如く左右対称に並べられた選手の名前が並ぶだけ。

せっかく、いくつかのゲームを題材にピックアップして解説しているのだから、両チームのフォーメーションを一枚の絵にして、ギャップを図示すれば臨場感も溢れ読みやすいのだが。

また、試合の記述に臨場感が全くない。著者の1人称で物語は進むのだが、淡々とした評論となっており、物語に入り込めない。一部、関係者の一言の記載はあるのものの、インタビューや様々な人の声があまりに小さい。

「第7章 なぜ日本代表に3-4-3が必要なのか」にしても、押しは弱い。

ポイントとしてあげられているゲームは、見たゲームが多く、また鮮烈な印象を残しているゲームばかり。2002年のワールドカップの韓国は現地で生観戦をして、日本サッカーが10年置いていかれたような鮮烈な印象を受けたし、2005年のチャンピオンズリーグ決勝で0-3からミランに逆転勝ちしたリバプール、1994年のワールドカップ準々決勝のブラジルVSオランダに、ユーロ2004のチェコVSオランダ。普通であればゲームのイメージに文章・図がオーバーラップして、流れる水の如く読めるはずなのだが、文章力の問題なのでしょう。本に入り込めません。

氏の文章には期待が強かっただけに、残念ながらがっかりな一冊でした。サッカー書籍を15年以上読んでいる私には物足りない内容でした。

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